「あれ?」
元旦の朝、獄寺のマンションにやって来た山本は、その部屋の前に立っている人物を見て目を丸くした。
「ディーノさん、明けましておめでとうございます!」
そう言いながら、手持ち無沙汰な様子でそこにいたディーノに駆け寄る。
ディーノも山本に気づくと、笑顔を浮かべて手を上げた。
「よっ、明けましておめでとう」
「何してんすか?獄寺になんか用でも?」
「あーまあ、用があるのはオレじゃなくて…」
その時、ディーノの背後でドアが開いた。
「お待たせ」
そう言いながら顔を見せたのは、部屋の主の獄寺ではなく雲雀だった。
「ヒバリ?お前まで…」
「ああ、来てたの、山本武。ちょうど良かった」
そうして、雲雀が表に出てくる。その姿は鮮やかな赤の振袖姿だった。
髪にも飾りをつけており、まるで日本人形のように美しい。
「すっげえ!綺麗だぜ、恭弥!!」
感動したディーノが声を上げる。と、雲雀は家の中をひょいと覗き込んだ。
「ほら、早く出ておいで」
雲雀に言われておずおずと出てきたのは、山本の待ち人、獄寺隼人。
彼女は反応を窺うように、不安げな表情でやって来た。
「獄寺、そのカッコ…!」
その姿を見て、山本は思わず息を呑む。獄寺の方は雲雀と対照的に青い振袖姿だった。
「きょ、恭弥が着せてくれて、その……似合わねえからって断ったんだけど……」
「似合わないわけねーよ!すっげえ似合ってる!!」
「だから、何度も似合ってるって言ってるでしょ?」
山本と雲雀が同時に詰め寄り、獄寺はびくりと肩を震わせた。
「恭弥、オレたちはそろそろ行こーぜ」
「…ん。そうだね」
ディーノに肩を抱かれて、雲雀はうなずいた。
そこで山本にじろりと視線を向けて、口を開く。
「隼人のエスコート頼んだから、しっかりガードしてよね。そんなに可愛いんじゃ浚われかれないもの」
「へっ?あ、ああ」
「じゃ、行こうか。ディーノ」
雲雀とディーノが行ってしまうと、山本はその場に俯いている獄寺に顔を向けた。
「獄寺、ちゃんと顔見せてよ。すっげー可愛いのに勿体ねえ」
「可愛いわけねーだろ!だいたいオレに着物なんて似合うわけねーんだ!髪の色だってこんなだし…」
「だいじょーぶだって。可愛いし似合ってる。他のヤツに見せんの惜しいくらい」
すると、獄寺はそろりと山本の顔を見上げた。
「…ほんとか?」
瞳いっぱいに不安を浮かべて、すがるように見つめてくる。
その姿の可愛らしさに、山本の心臓がドクンと大きく鳴った。
「〜〜〜あのさ、獄寺、はやくお参り行っちまおうぜ?でないとオレ、今すぐ押し倒しちゃいそう」
「なっ…!?テメーは新年早々何言ってやがる!」
「うん、だから早く帰ってこよ?オレの理性が持つうちに」
苦笑しながらそう言って、山本は獄寺の耳元に口を寄せた。
「そんで帰ってきたら―――抱かせて?」
「〜〜〜〜〜っ!!」
恭弥は隼人を飾るのが大好きです。
(080101log)
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